ネットワークエンジニアとして知っておくべきこと

【IT業界/SIerの将来性】を見る 〜今後の動向、崩壊論の実現可能性〜

今年1番読まれた記事

2017年の締め括りとして、ITproで『2017年によく読まれた記事ランキング』が掲載されました。

[総合]ユーザーの怒りや不満、ベンダーとの衝突が上位独占
 2017年のITpro総合ランキング。1位から4位までの記事タイトルを見ると共通点がある。「ユーザー」だ。タイトルに「ユーザー」と直接書かれた記事、あるいはユーザーの「声」をタイトルに掲げた記事が1位から4位を独占した。

1位は裁判沙汰『失敗の全責任はユーザー側に、旭川医大とNTT東の裁判で逆転判決』でした。

IT業界に限らず、競争が激しい業界ではどんなビジネスでも『お客様は神様』と自分で勘違いする取引相手に悩まされるものです。

SI業界では特に『デスマーチ』という言葉もしばしば耳にします。

『SIビジネスは崩壊する…』

そんな話が出るくらい、今のSIerを取り巻く環境は良くありません。

ですがこの判決は、そんなSIerたちに勇気を与え、そして今後のSI業界の見通しを変える希望ではないかと個人的に思っています。

なぜこの記事がアクセスを集めたのか?

まず、この記事が多数のアクセスを集めたのは、現場SEの共感・支持を得たからではないでしょうか。

私自身がSE側の立場であるため、そのバイアスがあることは否定しませんが、冷静に見ても、NTT東日本の現場対応は間違いないものだったと思います。

本来であれば顧客の追加要望等は飲まなくても良いのですが、客商売もあり、無碍な対応をすればあっという間に他の顧客に伝わります。『まあこれくらいなら、、』という程度であれば要望を飲むという選択肢はあります。ただ、これは商売上手か(お互いWIN-WINを築けるか)どうか、という範囲での話。

営業経由で『あっちの会社のほうが条件がいいから、嫌なら変えるよ』という顧客の声を最近よく聞きます。

値段を下げるなら良し、下げないなら対抗馬のベンダに『デグレしないこと』と条件を付けて契約し、仕様に明示されてないものでも平気で『前は出来てたからデグレしてる』と主張し、『これじゃ検収できない』と脅し、要求を飲ませようとする。

こんなやり取りも散々聞きましたし、実際そのような経験もしました。

今やSIerは競争に勝つために身を削り、削った分を顧客が自分の取り分にしているように思えます。

公正なやり方でやる分には構いません。しかし最近個人的に特に許せないのは以下の性質の顧客(IT室の人間)です。

  • 自分にベンダコントロール力があると勘違いし、→実際には技術力の伴わないベンダいびり能力
  • 社内調整をせず(できず)→協力義務違反では?というレベルのものも
  • 要求仕様から漏れていたことは『こちらのことを理解できていないあなた方が悪い。ヒアリング不足。』と一蹴し→お客様(自分)は神様だと勘違い
  • 自分たちのミスには笑いながら一言だけ謝り(そもそもあまりミスを認めない)、ベンダが失敗した際には激怒したりネチネチ文句言う→契約は組織と組織の『対等な』関係が前提にあるもの。そして担当者は契約の主体ではなく、あくまで組織の窓口。

日本のIT業界/SIerを取り巻く環境

設計と構築を分離しないIT業界

建築業界では『設計施工分離の原則』という原則があります。この原則は『設計を行う会社と施工を行う会社を必ず分ける』というものです。

つまり、まず建物の『設計』を先に設計会社の中から業者選定、契約し、その設計を基に、施工会社の見積りを取得し、業者を選定するのです。

ですがSI業界にはこのような習慣はありません。コンサル会社が入って設計(IT業界では『要件定義』とも呼ぶ)だけを行うこともありますが、あまり見かけません。

実態は『設計・構築・責任をベンダ丸投げ』が多いです(全てがそうでは無いというのも事実ですが)。

設計をするには顧客がそのシステムをどう使うかを把握する必要があります。本来これは顧客担当者の責任範疇ですが、ベンダが手伝うのが慣例化しています。そしていつからかそれが当たり前になり、責任がベンダ側になるのです。

その結果、裁判にもあるように、担当者が使い方不明のシステムの仕様書を書いて業者選定・発注し、金額が決まった後に具体的な使い方をする人たちとの打合せが始まって『こうしてくれないと困る』と言い出し、シワ寄せがベンダに来る、という構図が出来上がるのです。

それでもひと昔前までは顧客が(予め、もしくは追加で)お金を積み上げてくれることも多く、業者はそのプール金でなんとか凌いでいましたが、最近ではそれもあまり見なくなりました。

神経質な日本人

海外メーカ製品を納品し、その製品の不具合対応時には毎回、日本と海外の温度差に苦慮します。

日本人は製品に完璧を求める傾向・度合いが強いですが、海外では『これくらいなら気にしない』と割り切る傾向にあります。ある種、日本の美学なのでしょう。

前述の『こうしてくれないと困る』というのは意外とユーザ本人が運用で1手間2手間くらいすれば解決する問題だったりするのですが、それでも完璧を求める日本人からは許されないこともままあります。

アベノミクスはいずこへ

アベノミクスでは景気を良くし(つまりお金の巡りを良くし)物価を上げようという政策のはずですが、公共・民間問わず、設備投資等の予算が増える話は滅多に聞きません。

国の政策に合わせて公共くらいは予算を増やしてもいいはずなのですが、それもなかなか目に見える形には現れません。

その結果、現場レベルではやりたいことが増える(仕様の内容が濃くなる)のに予算は前回の額が閾値だったりするので業者同士を過剰に争わせ、価格低減を図るのです。先程も言いましたが、公正なやり方ならいいんです。

悲劇を繰り返さないためには

顧客とベンダ、お互いに冒頭の裁判のような悲劇を産まないためには何が必要でしょうか。

私が10年間SEをしてきて思うのは、単体契約を超えて、『お互いが対等な関係であることの再確認』、『顧客とベンダの責任の明確化』、『設計・施工の分離』、『顧客とベンダの衝突シナリオとその対策(事前、事後含む)のKB(Knowledge Base)作成』を行うことが現状を変える第一歩だと思っています。

つまり国が率先して上記の内容を含んだ『SI事業に関するガイドライン』を作成するのです。

これで全てが解決するとは到底思えませんが、SI業界を復興させるためにまず必要なことなのだと思います。

今回の事件が、顧客とベンダのお互いが自ら省み、お互いを尊重し、これらのことを真剣に考える良い機会になることを願わんばかりです。

SI業界を目指す人たちへ

SI業界は大変な業界だとは言われていますが、正直このご時世、どの業界も大変です。

それでもSI業界を目指す価値があるかと言うと、個人的にはあると思います。その一番の理由は、『実力を付ければ給料の伸びしろがある』と感じるからです。特に、世渡りが上手じゃない人が、地に足付けて『知識・技術・経験』を伸ばし、転職によるステップアップも可能です。

『手に職付ける』というのは自身の職の安定性を意味します。人手不足の業界で手に職付ければもう困ることはないでしょう。そういう意味では『介護職』といった選択肢もありますが、介護職は給与面で不遇だと言われています。

また、『薬剤師』というのも資格さえ手に入れれば安定・高収入とも言われています。ただし、資格を手に入れるまでが大変です。

SI業界はどうかというと、平均的にはそこそこかもしれませんが、仕事の中でスキルを付けられるし、会社によっては資格取得を支援・奨励してくれますので、そういう会社を選べばステップアップしやすい環境が手に入ります。

一言でSI業界といってもその中でも職種は結構あるのですが、その中でも個人的にお薦めなのは『ネットワークエンジニア』です。

詳しくは今後記事を書く予定ですが、現在システムのクラウド化が目覚ましく、社内からサーバが消えて行っています。つまりサーバエンジニアやプログラマの仕事が『SI(受託構築)』という仕事から『クラウドサービス業者のエンジニア』の仕事へとシフトしています。つまり、サーバエンジニアやプログラマはクラウドサービス事業者の仕事として集約されやすいのです。

一方ネットワークエンジニアはどうかというと、ネットワーク自体は相変わらず社内に残り続けます。また、ネットワークというのは構築は1回だけ、その後は運用でも触れることが少ないため、スキルが育ちにくいのです。それを生業としている人じゃないとスキルを付けにくいのです。

つまり何が言いたいかというと、『(SIer の中でも特に) ネットワークエンジニアは今後も需要がある』ということです。

転職について

私がとにかくおすすめしているのは、少なくとも30歳前半までは、年収もある程度考慮はしつつも、しっかりと成長できる環境に身を置くことです。

事務処理回し担当、エクセル貼り付けマシーンになどなってはいけません。

エンジニアの在り方も激変してきています。特に IT/インフラエンジニアの転職というのはとても一般的になってきています

最近はクラウド化などによりネットワークへの関心は下降気味です。前述しましたが、今の時代でネットワークしかできないエンジニアは価値が低いでしょう。

ですが、それでもシステムに必須のコンポーネントです。ネットワークがしっかりできて、さらにサーバ系も分かるエンジニアなら需要は根強いはずです。

転職にあたってはIT系の強いエージェントを活用しましょう。有名どころであれば正直大差はありません。大事なのはエージェントではなく転職先です。

IT業界に特化した専門転職エージェントです。Google で評判を検索すればすぐ出てきますが、若手の転職には最適です。

キャリアコンサルタントからあなたにあった転職先の選び方、転職のための面談の練習など、洗練されたキャリアコンサルタントのサポートが充実しています。まずは登録して話を聞くだけでも、今後のあなたのキャリアにとって価値があるでしょう。



 

『NWエンジニアになりたいけど実力に不安があってステップを踏み出せない』というのであれば、ネットワーク技術の専門技術講座と転職先紹介を無料で受けることができる「ネットビジョンアカデミー」がお勧めです。

CCNA 取得向け研修は実機を使った実践的なものであることはもちろん、ビジネスマナーの研修や、キャリアコンサルタントによるキャリアプランサポートも充実しています。

特に注目なのは、地方で働くフリーターの仮住まいを用意してくれたり、案件の多い東京でネットワークエンジニアとして働けるための道を用意してくれる点です。

また、資格取得は主目的とせず、実機を使った、実用的なスキル獲得を目的としたカリキュラムになっているところも要注目です。


ただ、2  つだけ注意点。

1 つ目は、エージェントやキャリアコンサルタントも人間なので、自分の人生に対する責任があります。エージェントはあなたを転職させることで自分の成果になります。なのであまり鵜呑みし過ぎてはいけません。しっかりと疑問点をぶつけていきましょう。彼らも嘘はつけないので、そういったところで目利きをするのです。

『お互い利用し合う』というと聞こえは悪いかもしれませんが、そのくらいの気持ちのほうがうまく行きやすいはずです。

 

2つ目は、『あなたの人生を決めるのはあなたしかいない。現状のあなたでいることの責任はあなたにある。』ということです。これは万人に共通です。

自分の環境を変えるのは自分しかいません。冷たい言い方かもしれませんが、自分の人生を無条件で助けてくれるのは親くらいなものです。

私の経験上、とにかく「目的に対する意思」を持って行動することが大事です。「転職しよう」ではダメです。「年収をアップさせよう!」という目的意識で、何でもいいから行動をすることが大事です。座談会に参加してみよう、くらいの気持ちでもよいのです。

アメリカの有名な心理学者 ウィリアム・ジェームズは以下の名言を残しています。

心が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば人生が変わる。

この言葉は私が「惰性に流されて生きている」と感じたときに思い出すようにしている言葉です。

あなたが最近心を動かして行動したのはいつですか?

今の環境に甘んじるのも、そこから脱するのも自分次第です。ぜひ、自分の今後の姿を具体的に思い浮かべてみて、行動を起こしてみて下さい

コメント

  1. koike90s より:

    私も今の現場では似たようなことで報告書を何度も書かされていたりします笑。

    どこも似たような状況であるみたいであまり関心しませんね。。。

  2. nesuke より:

    コメントありがとうございます。

    やはりそうですか。はやく取り巻く環境が良くなれば、、なにか妙案は無いものか、、日々考えさせられてます。

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