IGMP とは
IGMP とは、『マルチキャストを受信するホスト (レシーバ)』がマルチキャスト受信を要求するためのプロトコルです。
正式名称は Internet Group Management Protocol です。
レシーバは『レシーバと同セグメントのマルチキャストルータ』に対して「マルチキャストを受信し始めたいよ」、「受信を継続したいよ」、「受信を止めたいよ」といったメッセージを IGMP に乗せて送ります。
一方、レシーバからの IGMP を受けたマルチキャストルータは、PIM を使って対象のグループアドレスの誘導を図りますが、それとは別に、定期的に「レシーバはまだいますか?いなかったら停止するよ」というメッセージや、「受信を止めたいと言ってる人がいますが他に聞いてる人いますか?いなかったら停止するよ」というメッセージを IGMP に乗せてレシーバたちに送ります。
例えば 10.1.1.1 の PC が 10.1.1.254 のマルチキャストルータに対して、『230.4.5.6 のグループアドレスを受信したい』と言う場合は、下図のようになります。
IGMP のシーケンス
IGMP のシーケンスは以下の通りです。
IGMP のバージョン比較
シーケンスの各フェーズにおける、IGMP のバージョンによる違いを下表に示します。
Phase | 送信者 | 概要 | タイプ | IGMPv1 | IGMPv2 | IGMPv3 |
---|---|---|---|---|---|---|
参加 | PC (レシ ーバ) | グループ 230.4.5.6 への 参加表明 | Member- ship Report | 宛先IP | ||
230.4.5.6 | 224.0.0.22 | |||||
メッセージ | ||||||
230.4.5.6 に参加します! | 230.4.5.6 に参加 します!(Sourceを 指定することも可) | |||||
存在 確認 | ルータ | レシーバ の 存在確認 | General Query | 宛先IP | ||
224.0.0.1 | ||||||
メッセージ | ||||||
参加してる人、グループアドレス教えて! | ||||||
応答 | PC (レシ ーバ) | 存在確認 への応答 | Member- ship Report | 宛先IP | ||
230.4.5.6 | 224.0.0.22 | |||||
メッセージ | ||||||
230.4.5.6 に参加してるよ! | 230.4.5.6 に参加 してるよ!(Source 指定してる場合は その情報も含める) | |||||
離脱 | PC (レシ ーバ) | グループ 230.4.5.6 からの 離脱表明 | [v2] Leave [v3] Member- ship Report | not supported | 宛先IP | |
224.0.0.2 | 224.0.0.22 | |||||
メッセージ | ||||||
230.4.5.6 から離脱します! | ||||||
離脱 後の 存在 確認 | ルータ | 他のレシ ーバの 存在確認 | Group Specific Query | not supported | 宛先IP | |
224.0.0.1 | ||||||
メッセージ | ||||||
他に 230.4.5.6 の参加者はいますか? |
IGMP のフォーマット
IGMP のフォーマットを以下に示します。
IGMP のバージョンによる機能の違い
IGMP version 2 では以下 4 つの機能が追加されています。
- クエリア選出 = ホストからの IGMP を受信できるルータが 2 台以上ある場合、クエリアと呼ばれる機能のルータを 1 台選出 (最小の IP アドレスを持つルータ)し、クエリアのみがホストとやり取りを行います。バージョン 1 では PIM DR (Designated Router) がこの役割を担っていました。
- 最大応答時間の設定 = クエリアからのクエリーに対して何秒以内に応答 (レポート) しなければならないかを決めるパラメータです。バージョン 1 では 10 秒で固定でしたが、バージョン 2 では可変となりました。
- Leave メッセージ=グループから離脱するときに使うメッセージタイプが増えました。バージョン 1 では次回レポートに対して 10 秒応答しないことで離脱としていました。
- グループスペシフィッククエリー = Leave メッセージを受信した後、そのグループアドレスに対してのみ、他にメンバーがいないかを尋ねるメッセージです。
また、IGMP version 3 では以下 3 つの変更がありました。
- ソースアドレス指定とモード = グループアドレスだけでなく、ソース IP アドレスも指定できるようになりました。指定の仕方 (モード) は 2 種類あり、ソース IP アドレスを指定する (INCLUDE モード) か、もしくは除外する (EXCLUDE モード) か、です。
- Leave メッセージを Report に統合 = Version 2 で Leave メッセージが出来ましたが、これを Report メッセージに統合しました。
- レポートの宛先 IP アドレスが 224.0.22 に変更
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