ブロードキャストの種類
IP のブロードキャストには 2 種類あります。
1 つがリミテッド・ブロードキャスト、もう 1 つがディレクティッド・ブロードキャストです。
リミテッド・ブロードキャスト
宛先 IP アドレスが 255.255.255.255となるものをリミテッド・ブロードキャストと呼びます。
この場合、L2 の宛先 MAC アドレスは ffff:ffff:ffffとなります。
ディレクティッド・ブロードキャスト
IP アドレスの NW アドレス部をそのままに残し、ホスト部を全て 1 にしたアドレスを、ディレクティッド・ブロードキャストと呼びます。
192.168.1.0/24 のディレクティッド・ブロードキャストは 192.168.1.255 です。
さて、ここでよく勘違いされることがあるのですが、192.168.1.0/24 のルーティング設定されている機器で、192.168.1.255 はデフォルト設定でルーティングできるのでしょうか?
正解は・・・「できる」です。
ついでに言えば、192.168.1.0 もルーティングされます。正確には、192.168.1.0/24 が直結している機器 "以外" であれば、ルーティングされます。
というのも、ルーティングで書かれる 192.168.1.0/24 というのは必ずしもその先に 192.168.1.0/24 のセグメントが存在することを示していません。
場合によってはその先に 192.168.1.0/25 と 192.168.1.128/25 の 2 つがあるかもしれません。
仮に上記の通り /25 のアドレスが 2 つあったとすると、192.168.1.127 がディレクティッド・ブロードキャストアドレスになりますが、そんなことルーティングする機器は知らないですよね?
192.168.1.128 も同様です。NW アドレスですが、そんなこと 192.168.1.128/25 の NW が直結している機器じゃないと知りえないのです。
つまり、ルーティングで 192.168.1.0/24 NextHop: ~~ と書かれていてもあくまで「192.168.1.0~192.168.1.255 に行きたいなら~~のルートを通りな」ということしか示していないのです。
192.168.1.0/24 に直結している機器がある場合は、そこで L2 の宛先 MAC アドレスが ffff:ffff:ffff となり、ブロードキャストされます。
サブネットマスクとルーティングの関係など、このあたりの詳細は以下をご参照下さい。
ip directed-broadcast
例えば FastEthernet 1/1 に 192.168.1.1/24 というアドレスが振られていたとします。
そこに以下の設定を加えます。
(config-if)# ip directed-broadcast
すると、192.168.1.255 というディレクティッド・ブロードキャストアドレスがルーティングされてきた際に、192.168.1.0/24 に対してブロードキャストします。
これはよく WAKE on LAN で使われるものです。
セキュリティ上はあまり宜しくないですが (DoS 攻撃のリフレクターとして動作しうる)、使い方によってはとても便利なものです。
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