HPEスイッチの IRF とは
HPE スイッチをスタックする (2 台のスイッチを 1 台と見なす) 技術は、IRF (Intelligent Resilient Framework)と呼ばれます。
この技術では、通常のスタックのような専用のスタックポート/スタックコードを必要とせず、Ethernet ポートを使ってスタックを組むことができます。
つまり、Ethernet ポートとしてもスタックポートとしても利用できるわけです。
ただし、1000Base-T のポートでは IRF は構成できないようです。
稼働中スイッチ1台に、IRFスイッチを追加する手順
稼働中スイッチ 1 台に IRF を構成する場合、大まかな手順は以下の通りです。
- 追加する 1 台のスイッチを、稼働中のスイッチのファームを合わせる
- 2 台のスイッチに IRF の設定を適切に追加し save。追加するスイッチが Slave になるように irf priority を設定 (大きい方が Master, 小さい方が Slave)
- 追加するスイッチを停止した状態でケーブルを繋ぎこむ
- 追加スイッチの起動
追加するスイッチが Master になる設定であったり、追加するスイッチが起動した状態で接続すると再起動が走りますので注意が必要です。
設定例
[SW1]
[SW1] irf member 1 priority 20 [SW1] interface range Ten-GigabitEthernet 1/0/51 to Ten-GigabitEthernet 1/0/52 [SW1] shutdown [SW1] irf-port 1/1 [SW1] port group interface Ten-GigabitEthernet 1/0/51 [SW1] irf-port 1/2 [SW1] port group interface Ten-GigabitEthernet 1/0/52 [SW1] interface range Ten-GigabitEthernet 1/0/51 to Ten-GigabitEthernet 1/0/52 [SW1] undo shutdown [SW1] irf-port-configuration active [SW1] save
[SW2] ※このときはまだ SW1 には繋げない
[SW2] irf member 1 renumber 2 [SW2] save [SW2] reboot ######### [SW2] irf member 2 priority 10 [SW2] interface range Ten-GigabitEthernet 2/0/51 to Ten-GigabitEthernet 2/0/52 [SW2] shutdown [SW2] irf-port 2/1 [SW2] port group interface Ten-GigabitEthernet 2/0/51 [SW2] irf-port 2/2 [SW2] port group interface Ten-GigabitEthernet 2/0/52 [SW2] interface range Ten-GigabitEthernet 2/0/51 to Ten-GigabitEthernet 2/0/52 [SW2] undo shutdown [SW2] irf-port-configuration active [SW2] save
このあと SW2 の電源ケーブルを引っこ抜き停止し、1/0/51 と 2/0/52 を接続、1/0/52 と 2/0/51 を接続し、SW2 を起動する。
注意点
irf-port 1/2 と irf-port 2/1 を接続し、irf-port 1/1 と irf-port 2/2 を接続する。じゃないと IRF 構成が組めない。
確認コマンド
[SW1] display irf [SW1] display irf configuration
MADとは
MAD とは、Multi Active Detection の略で、IRF スタックポートの疎通が 2 ポートとも出来なくなった場合に、2 台とも Master になることを避ける技術です。
具体的には、MAD により Multi Active が検知された場合は、irf priority の高いスイッチが活き、irf priority の低いスイッチは全ポートを shutdown します。
具体的な実装としては以下3つがあります。
- LACP MAD
- BFD MAD
- ARP MAD
例えば IRF スタックの筐体跨ぎで Bridge-Aggregation (LACP) を利用している場合、 LACP MAD を使うことで MAD を実現できます。
自身が送信した『MAD 用拡張データ付き LACPDU』を、対向スイッチで折り返してもらいます。これにより、例え IRF スタック構成が崩れたとしても、対向のスイッチ経由で 2 台の状態を確認できますので、irf priority の高い方を意図して活かすことができます。
なので対向スイッチは同じく HPE 製スイッチである必要があります。
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