bps と pps
一般に、機器のスイッチング処理能力を見る際には転送速度 (bps = bit per second ) が注目されます。(スイッチングファブリックとも呼ばれます)
しかしルータやスイッチではショートパケット ( 48 Byte の IP パケット) であってもロングパケット ( 1500 Byte の IP パケット) であっても、(基本的に固定長である Ethernet ヘッダと IP ヘッダを見て転送処理するので)、処理時間はほとんど変わりません。
そうなると、『ショートパケット』か『ロングパケット』かで速度が大きく違ってくる、ということです。
そこで、転送速度 bps 以外に パケット処理速度 pps という指標も見ることが重要になります。
1 メガ個のパケットを送る場合は、1 Mpps という単位になります。
bps は bit per second の略で、1 秒あたりに転送処理できる bit 数を表します。
一方、pps は packets per second の略で、1 秒あたりに転送処理できるパケット数を表します。
ショートパケットが発生する原因
ショートパケットは、ネットワークが原因で発生することはまずありません。
アプリケーション側によって、意図的にショートパケットとなるようなプログラムになっているだけです。なのでショートパケット自体が悪い事象というわけではないです。
例えば Windows の telnet クライアントを使うとき、文字は 1 文字 ( 1 Byte の ASCII ) づつ送るので、連続して文字を打つ場合は 48 Bytes のショートパケットが連続して流れることになります。
その他、動画や音声等のリアルタイム性を要求するアプリケーションもショートパケットを送る傾向が強いです。
例えば、コンソール情報を送る telnet/SSH や KVM 情報を送る RDP のようなプロトコルです。
pps を bps に換算する
上記の説明から分かる通り、pps を bps に変換しようとすると、そのパケットがロングパケットなのかショートパケットなのかによって値に大きなブレが出ます。
なのでメーカでは bps と pps 両方の情報を提示しているのです。
次に Cisco Catalyst のスペックの一例を見ていきます。
Cisco Catalyst 3560G-48TS の bps と pps
例えば Cisco Catalyst3560G-48TS の仕様を見てみると、以下のようになっています。
パケット処理速度:38.7M pps
1 パケットあたり 1500 Byte のロングパケットが 1 秒間に 38.7M パケット入ってきたとすると、
となり、32G bps を大きく上回ります。
なので 1500 Byte のロングパケットしか入ってこない場合は 38.7M pps のパケット処理性能では処理できないことが分かります。
同様に、1 パケットあたり 64 Byte のショートパケットが 32G bps の転送速度で流入してきたとすると、
となり、やはり 38.7M pps を大きく上回ります。
なので 64 Byte のショートパケットしか入ってこない場合は 32G bps の速度では処理できないことが分かります。
このように、転送速度とパケット処理速度は分けて考える必要があります。
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