/32 のIPアドレス
PPP、および PPPoE には、DHCP のように対向NW機器からIPアドレスやルーティング情報などを受け取ることができます。 前述しましたが、その仕組みをIPCPと言います。
このIPCPを使って、しばしばブロードバンドルータ等には/32のグローバルIPアドレスが割り振られます。 ぷらら等のISPはこの機能を利用して動的IP、もしくは固定IPを割り当てるサービスを提供しています。
ところで/32のアドレスは、通常はEthernet等のマルチアクセス環境では利用できません。
なぜならEthernet+IPの環境では 接続する機器のIPは互いに同一NWセグメントである必要(=ARPを受け取る必要)があるためです(/32ではその要件が満たせないのは明らか)。
ところがPPPoEはマルチアクセスではなく、ポイントtoポイント接続となります。
すなわち、Ethernetインタフェースの設定には IP アドレスは割り振られず、PPPoE インタフェース (NW 機器によって呼び名は異なる) と呼ばれる仮想インタフェースにIPアドレスが割り当てられます。
ポイントtoポイント接続はこの他にもシリアルインタフェース、トンネルインタフェース等があります。
このようなポイント to ポイントインタフェースは、ルーティングする際も NextHop で IP アドレスを指定する必要はなく、出力インタフェースとしてそのインタフェースのみを指定されていれば良いのです (詳細はルーティングテーブルをご参照下さい。)
/32アドレスが使えることの最大のメリットは、NATやNAPTと組み合わせることでグローバルIPアドレスの節約ができることです。詳細はこちらをご参照下さい。
この章の要約
サブネットマスク32bitのIPアドレスは、通常のEthernet(マルチアクセス環境)では使えないがシリアルインタフェースやPPPoEインタフェース(ポイントtoポイント接続)では利用可能
蛇足な補足:/31 (サブネットマスク31bit) のIPアドレス
Ethernet環境において、/31のアドレスは通常は使えません。ご存知の通り、ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスしかないため、端末を配置できず無意味なものになるからです。
ところが、あまり知られておらず、かつ利用もされておりませんが、/31 (サブネットマスク31bit)のIPアドレスも実は使えるケースがあるのです。
2000年に定められたRFC3021に『Using 31-Bit Prefixes on IPv4 Point-to-Point Links』というタイトルで広告されています。
タイトルから分かる通り、主にWAN等のポイントtoポイント接続の中間ネットワークとして使うケースを想定しています。
それまでは/30を使うのが定石でしたが、このRFCによって、IP消費を減らすことができるようになりました(実装は見たことないので知らんけど)。
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