サーバアーキテクチャ

【図解】RAIDグループ/LUN/ボリューム/パーティションの違いと各メリット,ディスクとドライブの違いについて

ディスクとドライブの違い

ディスクはメディア (記憶する本体)、ドライブはそのメディアを駆動 (ドライブ) して読み書きを行う装置を意味します (昔はハードディスクドライブもドラム式でリムーバブルなもの、容量追加ができるものでした)。

RAIDグループとは

RAID グループとは、サーバ内の複数のドライブを、サーバ内の『RAID コントローラ』によって束ねたものです。OS から見たときこの RAID グループを 1 つのディスク (仮想ディスク) として認識します。この RAID グループを管理する主体は RAID コントローラになります。

一般的なサーバの RAID コントローラだと、価格低減のために「パリティ計算を一度に行える HDD の数に制限があり、本数を超えると 2 回計算が走る」といった構成になっていたりと、推奨本数が決まっていることが多いです。

ストレージプールとは

大容量ストレージ用の RAID コントローラは、1 つの RAID グループに参加させる HDD の数に制限が無いこともありますが、やはりコスト的な問題で推奨本数が決まっていることが多いです。

ですが大容量のボリュームを作成したいときは、ストレージ製品によっては『ストレージプール』というものが利用できます。

ストレージプールは、物理ディスクはもちろん、(同じ RAID レベルの) RAID グループ (仮想ディスク) を連結して、1 つの大容量ボリュームとして見せることができます。

LUN (Logical Unit Number) とは

LUN (読み方:えるゆーえぬorるん) とは、「SCSI コマンド」というディスクドライブ接続インタフェース規格の論理層で使われる、ディスクの論理識別番号です。

SCSI 規格は「物理層 (コネクタやケーブル)」と「論理層 (電気信号の解釈 = SCSI コマンド)」がセットで定められていますが、このセットのものは今は使われていません。

SCSI 規格に替わるものとして今の主流は SAS や SATA、USB、ファイバチャネル、Ethernet (FCoE や iSCSI) が使われていますが、これらの論理層は今も変わらず SCSI コマンドが使われています

初期の SCSI は SCSI ID が 0 ~ 7 までしか値が取れず、さらに 7 はホストバスアダプタ (HBA) に予約されているため、SCSI デバイスは 7 つまでしか接続できませんでした (初期 SCSI は数珠繋ぎ接続)。この制約を拡張するため、LUN が作られました。LUN では 1 つの SCSI-ID につき 8 つのユニットを作れるため、7*8 = 56 台の SCSI デバイスを接続できるようになりました。

LUN のメリット

今時は数珠繋ぎにすることは無いのですが、大容量ボリューム (RAID グループの仮想ディスクやストレージプール等) を論理的に分割するときには LUN が使われます

大容量ボリュームをそのまま利用すると、1つの SP (Storage Processor , 製品によってはコントローラとも呼ぶ) が処理を行うため、負荷分散が行えず非効率です。

LUN で分割することによって、マルチパスによる負荷分散を行わせることができます

ストレージ側では SP#1 は LUN#0 がアクティブで LUN#1 がスタンバイ、SP#2 は逆に LUN#1 がアクティブで LUN#0 がスタンバイ、といった構成を取ります。そしてサーバ側では用途に応じて SCSI コマンドにより LUN#0 と LUN#1 を分けて呼び出すので、負荷分散させることができます。

LUN の管理主体は SCSI コマンドを受けるストレージ側です。

ボリュームとは

ボリュームとは、物理・論理を問わず、『物理ディスク』、『RAID グループ (仮想ディスク)』、『LUN』などの、ファイルシステムにフォーマットできるディスク領域を指します。

つまり、RAID グループもボリュームですし、LUN もボリュームです。

LUN を使った具体例 (仮想サーバ+共有ストレージ)

LUN を使った具体例として、VMware ESXi 仮想サーバ 2 台と共有ストレージを使って、以下の VM 6 台を構築するケースを考えます。

  • 共有ファイルサーバ (Windows) : 1 台
  • メールサーバ (Linux) : 1 台
  • 共有ファイルサーバ認証用 AD DC (Windows) : 2 台
  • メールサーバ認証用 LDAP サーバ (Linux) : 2 台

ファイルサーバとメールサーバのデータ領域はそれぞれ容量を 2TB に制限します。

また、これらの領域はストレージアクセスが集中するため、別の LUN に所属させて負荷分散を図ります。VM の OS イメージ領域は均等に 3 台ずつに分け、同様に別の LUN に所属させて負荷分散させます。

パーティションとは

OS から見て 1 つのドライブデバイスを認識している際に、そのドライブを分割し、その中で容量制限ができます。

通常は C ドライブで 1 つの HDD、D ドライブでも 1 つの HDD が必要になりますが、パーティションを使えば 1 つの HDD を 2 つに論理的に分割し、1 つの HDD で C ドライブと D ドライブの両方を作ることができます。

RAID グループや LUN における、ボリュームと同じような位置付けですが、それと異なるのは、管理主体が (ストレージではなく) OS (ハイパーバイザ含む) であることです。

パーティションテーブル (GPT や MBR) はボリューム内に作られますが、それを読み解くのは OS (ハイパーバイザ) になります。

コメント

  1. より:

    勉強させていただいてます。
    よけいなお世話かもしれませんが、”LUN分割による負荷分散”の図で、緑の吹き出しの右側のLUN#0がLUN#2になってます。

    • nesuke より:

      あさん
      コメント、ご指摘ありがとうございます。図解と名乗る以上、図に間違いがあるのは良くないですので余計なんてことは全然無いです。とても助かります。修正させて頂きました。
      今後とも当サイトを宜しくお願い致します。

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