ルーティングテーブルとは
レイヤー 3 の NW 機器 (ルータや L3 スイッチ) のメモリには、ルーティングテーブルというルーティング情報を格納するスペースがあります。
ルータや L3 スイッチはこの情報を元に、入ってきたパケットを適した経路 (ネクストホップ) に転送します。
ルーティングテーブルは IP アドレス単位でも記述可能ですが、ネットワークアドレス単位で記述するのが一般的です。
ルーティングの設定を入れると、そのルーティングテーブルにその情報が格納されます。NW 機器のインタフェースに振られている IP アドレスが所属する NW アドレスは、Connected(直結ネットワーク) として最初からルーティングテーブルに入っています。
ルーティングテーブルはベンダにより表示が異なるため、Cisco を例に見方を見ていきます。
下記に、スタティックルートを 1 つ入れたときのルーティングテーブルの例を示します。
ルーティングテーブルの例
C 192.168.0.0/24 is directly connected, FastEthernet0
C は Connected Network、すなわち直結ネットワーク (そのネットワークアドレスに所属する IP アドレスが、その NW 機器に振られていること) を意味します。
192.168.0.0/24 は FastEthernet0 (Fa0) インタフェースに直接接続されている、という意味です。
C 172.16.0.0/16 is directly connected, FastEthernet1
上と同じく、172.16.0.0/16 は Fa1 に直接接続されている、という意味です。
S 10.0.0.0/8 [1/0] via 172.16.0.2, FastEthernet1
S はスタティックルートを意味します。
ダイナミックルーティングの場合、RIP なら R、OSPF なら O、EIGRP なら D が表示されます。
[1/0] の表記中の、1 は Administrative Distance、0 は Metric (Cost) を意味します。
Administrative Distanceとは、ルーティングプロトコルの信用度のことです。
全く同じルート情報が、違うルーティングプロトコルから伝達された場合、この値が小さいほうの情報を信頼し、ルーティングテーブルに乗せます。
デフォルトでは 以下のように決まっています。(Connected 以外は設定で変更することも可能です)
プロトコル | Administrative Distance |
---|---|
Connected | 0 |
Static | 1 |
EIGRP 集約ルート | 5 |
BGP(EBGP) | 20 |
EIGRP | 90 |
IGRP | 100 |
OSPF | 110 |
IS-IS | 115 |
RIP | 120 |
ODR | 160 |
EIGRP(External:再配送) | 170 |
BGP(iBGP) | 200 |
Metricはルーティングプロトコルによって考え方が違うのですが、ここでは説明は省きます。Connected ルートの場合はどのような場合も 0 になります。
"via 172.16.0.2"は、NextHop が 172.16.0.2 であることを意味し、その次の "FastEthernet1" は送出インタフェースを意味します。
NextHop とは、次の行き先の IP アドレスです。
シリアルインタフェースや PPPoE、GRE 等の仮想インタフェースといったポイント to ポイントインタフェースの場合は、送出インタフェースが定まれば行き先も定まりますが、FastEthernet 等のスター型の インタフェースの場合、送出インタフェースが決まっても、そこからさらに行き先が複数あり得ます。
そのため、スター型のインタフェースでは NextHop は送出インタフェースだけでなく、IP アドレスも定め、行き先が一意になるようにします。
コメント